個人再生とは?メリット・デメリットやリスク、個人再生できないケースを解説
「個人再生ってどんなメリットがあるの?」「できないケースやデメリットもあるの?」など、個人再生に関する疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、個人再生の基本情報やメリット・デメリットなどを紹介します。
次のようなお悩みをお持ちの方はぜひチェックしてみてくださいね。
- 個人再生ってなに?借金が減るの?
- 個人再生でやってはいけないことは?できないケースはある?
- 個人再生をすると家族や会社にバレる?経験者の話が聞きたい
詳しく見ていきましょう。
目次
個人再生とは?小規模個人再生と給与所得者再生の2種類がある
個人再生は、裁判所に借金の返済ができないことを申し立て、5分の1~10分の1程度に減額してもらう手続きです。
債権者による承認が必要な「小規模個人再生」と債権者による承認なしで利用できる「給与所得者再生」の2種類があります。
個人再生のメリットは主に5つ!職業制限なしで利用できるから安心
ここからは、個人再生の5つのメリットを紹介します。
- 借金を大幅に減額できる
- 職業制限を受けずに利用できる
- パチンコ・競艇・競馬など…ギャンブルが理由の借金も減額できる
- 返済期間の延長が認められる場合がある
- 住宅ローンが残っていてもマイホームを残すことができる
個人再生には、借金を減額できたり、返済期間の延長が認められたりするなどのメリットががあります。
1つずつ紹介していくので、個人再生の利用に迷っている方は参考にしてみてください。
個人再生は借金を大幅に減額できるのが一番のメリット!
個人再生は、借金を大幅に減額できるのが一番のメリットと言えます。
元金を含めた借金総額を、5分の1~10分の1程度にまで減額できるので、借金返済の負担を減らしたい方におすすめです。元金を減らすことができるため、月々の返済負担も大幅に減らせるでしょう。
なお、減額基準は以下の通りです。
- 借金総額が100万円以下のケース:減額無し
- 借金総額が100万円以上500万円以下のケース: 100万円
- 借金総額が500万円以上1500万円以下のケース:5分の1程度
- 借金総額が1500万円以上3000万円以下のケース:300万円
- 借金総額が3000万円以上5000万円以下のケース:10分の1程度
個人再生は職業制限を受けずに利用できるのも大きなメリット!
個人再生は、自己破産のように手続き中に「職業制限」「資格制限」を受ける心配がありません。
個人再生を行う場合は安定した収入が必要です。職業制限や資格制限はありませんが、継続的に収入を得られることが条件になります。
パチンコ・競艇・競馬など…ギャンブルが理由の借金も個人再生で減額できる!
個人再生は、パチンコ・競艇・競馬などのギャンブルが理由の借金も減額できます。
借金を抱えた理由が問われないため、ギャンブルで作った借金に苦しんでいる方にもおすすめです。
個人再生は返済期間の延長が認められる場合があるのも嬉しいポイント!
返済期間の延長が認められる可能性があるのも個人再生の特徴です。
原則は3年ですが、最長5年まで返済期間を延長して分割返済することができます。
個人再生ならローンが残っていてもマイホームを残すことができる!
個人再生は住宅ローン返済中のマイホームを残すことができるのもメリットです。
任意整理のように、整理する借金を選ぶのは不可能ですが、住宅ローン特則を使えば、住宅ローンの返済のみ残すことができます。
個人再生のデメリットとは?ブラックリストに載ることによるリスクや保証人への影響は?
ここからは、個人再生のデメリットについて紹介します。
- ブラックリストに掲載されるのでクレジットカード利用者は要注意
- 保証人がいる場合は保証人に請求が移ってしまう
- 家族や勤務先に借金していることがバレる可能性がある
- 手続きの準備が面倒・費用がかかるのも大きなデメリット
- 債権者を選べない…車のローンを抱えている方は注意が必要
個人再生は借金減額幅が大きいなどメリットが多いですが、デメリットももちろんあります。
「個人再生の手続きをしなければよかった…」「個人再生に失敗した」とならないためにも、あらかじめデメリットを確認しておきましょう。
ブラックリストに掲載される…クレジットカード利用者は注意!
個人再生を行うと、金融事故として信用情報に情報が記載されてしまいます。
ブラックリストに掲載されると、クレジットカードが強制解約になります。掲載されている一定期間はクレジットカードを作ることも使うこともできませんので、クレジットカード利用者は注意が必要です。
また、個人再生の手続きをすると、政府が発行している「官報」にも名前と住所が掲載されてしまいます。
一般の人が目にする可能性は低いですが、知り合いに金融業者や税務署の関係者がいる場合は手続きしたことがバレる可能性があります。
保証人がいる場合は保証人に請求が移ってしまう!
借金に保証人がいる場合、個人再生を行うと支払い義務が保証人に移ります。
たとえば、親が保証人になっている奨学金を個人再生した場合、支払い請求は本人ではなく親にいきます。
いきなり請求がいくとトラブルになる可能性があるため、事前に手続きする旨を伝えておきましょう。
保証人には一括で請求されてしまうため、保証人への負担が心配で個人再生を行うかどうか迷っている場合は、弁護士や司法書士にまずは相談してみるのがおすすめです。
家族や勤務先に借金していることがバレる可能性がある!
個人再生は、家族や勤務先に借金していることがバレる可能性があるのもデメリットです。
裁判所に申し立てる場合、家計収支表を提出する必要があります。
家族全員分の収支を記入しなければならないため、個人再生の手続きに入っていることを家族に秘密にしておくのは難しいでしょう。
また、個人再生の受任通知や手続き開始の通知書などは債権者に送られます。勤務先からお金を借りている場合、勤務先に通知が届くためバレる可能性があります。
手続きの準備が面倒・費用がかかるのも大きなデメリット
個人再生は、手続きの準備に時間がかかるのも大きなデメリット。弁護士や司法書士に依頼すればサポートはしてもらえますが、自分で準備しなければならない書類も多いです。
期間が指定されている書類もあるので、事前にチェックしておく必要があります。
個人再生に必要な書類は以下の通りです。
- 住民票
- 直近2年分の源泉徴収票
- 直近2年分の給与明細
- 預金通帳のコピー
- 賃貸契約書
- 弁護士への委任状
- 通信費や水道光熱費の領収書
返済中の住宅ローンがあり、家を残したい場合は、ローンの契約書や保証機関との契約書なども準備しなければなりません。
書類に不備があると手続きを思うように進めることができないので、弁護士や司法書士と協力してしっかりと準備しましょう。
個人再生を行う場合、手続きに様々な費用がかかる点にも注意しましょう。申し立て費用の他にも、裁判所予納金や書類収集費用などがかかります。弁護士に依頼する場合は弁護士費用もかかるので、どれくらいかかるのか事前に把握しておきましょう。
債権者を選べない…車のローンを抱えている方は注意が必要!
個人再生は、自分で手続きする借入先を選ぶことができません。すべての債務が手続きの対象になるため、車のローンを抱えている方は注意が必要です。手放さなければならない可能性もあるため、車のローンが残っている方は慎重に検討しましょう。
個人再生ができない!個人再生に不向きなケースにも注意が必要!
ここからは、個人再生ができない!など個人再生には向かないケースを紹介します。
- 借金総額が5000万円以上の場合はできない可能性大!
- 必要な費用が払えない場合も手続きができない!
- 安定した収入がない場合も手続きが認められない!
- 所有財産が多いと危険…最低弁財基準額が高額になる可能性がある
- 借金総額が100万円以下の場合はメリットがほとんどない!
個人再生には条件が設けられているため、必ずしも手続きができるとは限りません。
なるべく早く借金返済の負担を軽くするためにも、個人再生ができないケースについて確認しておきましょう。
借金総額が5,000万円以上の場合はできない可能性大!
借金総額が5,000万円以上の場合は個人再生の手続きが行えません。
消費者金融や銀行からの借金だけでなく、勤務先や家族からの借金、遅延損害金、利息なども含まれます。
なお、借金総額が5,000万円以上の方は、個人再生ではなく自己破産を選ぶのがおすすめです。自己破産なら、5000万円以上の借金でも手続きすることができます。
必要な費用が払えない場合も手続きができない!
申し立て時に手続き費用を支払えない場合も、個人再生ができないので注意が必要です。
個人再生を行う場合、申し立て時に予納郵券や申し立て費用などの支払いが求められます。
支払えないと申し立てが棄却されてしまうので、前もって準備しておきましょう。
なお、手続き費用の支払いが難しい場合は以下の方法を用いるのがおすすめです。
- 弁護士費用を分割払いにしてもらい、浮いた分で支払う
- 弁護士に依頼して催促を止め、費用を準備する
- 法テラスに相談して立て替えてもらう
最近は、分割払いに対応している弁護士事務所や司法書士事務所も増えています。どうしても手続き費用が払えない場合は、そのような事務所に依頼するのも1つの方法です。
できるだけ早く借金問題から解放されるためにも、まずは専門家に相談してみましょう。
安定した収入がない場合も手続きが認められない!
安定した収入がない場合も個人再生の手続きはできません。
個人再生の場合、手続きが終わった後も継続して借金を返済する必要があるからです。
安定した収入を得られれば、就労形態などの制限はありません。アルバイトやパートなど、非正規雇用者の場合でも、継続して安定した収入があれば利用できます。
逆に、専業主婦や無職の方は、継続して安定した収入を得られる見込みがないと判断されます。
所有財産が多いと危険…最低弁財基準額が高額になる可能性がある
多額の財産を保有している場合、最低弁財基準額が高額になる可能性が高いです。最低弁財基準額とは、減額後に支払う金額であり、保有財産の額を上回る必要があるとされています。
手続きはできますが、所有財産が多ければ多いほど、減額後に支払う金額が高額になってしまいます。
借金総額が100万円以下の場合はメリットがほとんどない!
借金総額が100万円以下の場合は、個人再生をしてもあまりメリットを得られません。個人再生は借金総額ごとに最低弁済額が決められており、100万円以下に減ることがないからです。
借金総額が100万円以下の方は、他の方法を検討するのがおすすめです。
なお、メリットがほとんどないにも関わらず、契約のために個人再生を勧めてくる弁護士や司法書士が稀にいます。自分に合った債務整理を選ぶためにも、借金総額と現在の状況を照らし合わせて真剣に考えてくれる弁護士・司法書士に相談しましょう。
個人再生ができないときはどうする?自己破産か任意整理を検討しよう!
個人再生ができない場合、他の2つの債務整理の法を検討してみてください。
- 自己破産
- 任意整理
それぞれのメリット・デメリットを紹介します。借金に関する問題を解決するためにも、あらかじめ把握しておきましょう。
自己破産とは?借金をゼロにできる可能性がある手続き
自己破産は、裁判所に「借金をこれ以上返済できない」ということを認めてもらうことで、借金をゼロにできる可能性がある手続きです。借金の返済義務がなくなるため、借金の返済に追われるストレスから解放されます。
公租公課を除くすべての借金が免除されるため、多額の借金を抱えている方におすすめです。
自己破産を行うと、消費者金融からの借金だけでなく、住宅ローンやクレジットカードの支払いなどもなくなります。
保証人がいる場合、保証人が一括返済を追わなければならなくなる点は個人再生と同様にも注意が必要です。
任意整理とは?将来利息のカットが望める手続き
任意整理は、将来利息のカットを債権者と交渉し、借金減額を目指す手続きです。将来利息がカットされて「元金のみの返済」となるため、毎月の返済負担を減らすことができます。
過払い金の発生も手続き中に調べられるため、もし過払い金がある場合は元金の減額も期待できます。過払い金のほうが借金総額より大きい場合は、借金完済も可能です。
だたし、手続きをするとブラックリストに掲載されてしまうため注意が必要です。(過払い金で借金が残らない場合は掲載されない)
また、連帯保証人がいる場合、任意整理をすると借金の返済義務が連帯保証人に移ってしまいます。
個人再生で借金減額したいなら、早めに弁護士や司法書士に相談しよう!
今回は、個人再生の基本情報やメリット・デメリットなどを紹介しました。個人再生は、借金を元本含めて5分の1~10分の1程度に減らせるため、借金による負担がかなり減ります。
目の前の借金返済が辛い、利息カットだけではどうにもならないもう返せない…となりそうな方におすすめです。
ただし、個人再生は書類の準備に手間がかかるうえに手続きが面倒で、費用も高額になる可能性があります。
煩雑な手続きのため自分だけで行うのは大変であるため、弁護士や司法書士といった法律のプロに相談するとよいでしょう。
自分の借金が「個人再生」に不向きな可能性もあるので、そちらについても相談に乗ってもらえますよ。
無料相談を行っている弁護士事務所・司法書士事務所もあるので、ぜひ相談してみてください。